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2009.04.12 Sun
ふるさと力発掘支援モデル事業先進地視察研修報告書
昨年訪れたさいかい元気村のレポートが届きました。掲載します。

ふるさと力発掘支援モデル事業先進地視察研修報告書

【長野県 平成20年11月2・3・4日】

さいかい元気村協議会

1. 視察研修の目的

さいかい元気村協議会では、平成20年度「ふるさと力発掘支援モデル事業」の採択を受け、“ふるさとづくり構想”に基づく『ふるさとづくり計画』の策定に現在取り組んでいる。その計画策定にあたっては、本事業の柱となる都市と農村の交流分野における事業のスキームづくりと、その中身のひとつである特産品開発というふたつの事業をいかに組み立てるかが大きな課題である。

そこで、5年先10年先を見すえた計画を立案し、ゆるぎない理念の構築と関係者で将来ビジョンを共有するため、計画策定のための研究視察先として本協議会のめざす構想のお手本となるような先進事例を視察し計画策定の参考としたい。

1. 視察研修地

○ 長野県/シャロムヒュッテ

3.研修内容

○ シャロム・ヒュッテ/11月2~3日

【シャロム・ヒュッテ概要】

信州北アルプス山麓・安曇野にあるシャロムは、宿泊・農業・レストラン・カフェ・ショップなどが融合したエココミュニティとして若い女性層や団塊の世代、自然志向層から注目を浴びているスポット。自然農やシュタイナー教育、マクロビオティック、地域通貨、パーマカルチャー、フェアトレードなど21世紀の循環型社会に必要なキーワードを包み込んだ活動に取り組んでおり、フィールド内ではヨガや自然農塾、自然体験プログラムなど様々なワークショップが行われている。

【視察のねらい】

シャロムが標榜し、エココミュニティとして具現化しているコミュニティは、さいかい元気村協議会のふるさとづくり構想の大きな柱である“地域ブランドを発進するプラットホームづくり”のモデルとして現在最も参考になる取り組みと思われる。特にマスコミからの取材を使った情報発信によるブランドイメージづくりや、持続可能な運営を続けるためのノウハウも30年近いシャロムの活動から学びたい。

【視察の内容】

「土と水と木のある風景」

シャロムヒュッテはメインの宿泊棟(この中に客室以外にワークショップスペースがある)、レストラン棟、フェアトレードショップ、パン釜、自然農園、パーマカルチャー農園、ネーチャーフィールドによって形成されており、それぞれがつながりあい、活かされあい存在している。建物や設備は基本的に循環と持続可能をコンセプトとして、自然に還る土や木、竹、藁などが使われ、西洋的なデザインを醸しながらも日本建築のルーツにも通じる建築思想を感じた。

「主、臼井健二さん」

30年前、伝説的な山小屋の管理人として人気を博していた臼井さんはある日突然山を下り、現代社会へのアンチテーゼとして、自給自足生活ながら、シンプルで自由で時間に縛られない豊かな暮らしを実践するという主旨のもと、仲間達と自然共生型のヒュッテ建設にかかる。単なる脱サラのペンション経営とは異なり、明確な現代肥大社会への否定とそれに代わる具体的な生活を提起し、循環型社会のモデルといわれるパーマカルチャーへの取り組みや地域通貨の実践をめざすなど、パートナーシップを基本としたオルタナティブなコミュニティ創造を目指している。

臼井健二さん

臼井さんの第一印象は、そうした純粋で崇高な思想には似つかわしくない(失礼)風貌をした豪快な地元のオヤジといった感。飾り気のない作業着とゴム草履で、園内を駆けめぐり、大きな声で笑い、語りかける姿にまさに伝説的な山小屋の管理人をみたようだ。だからこそ、人を引きつけるのかもしれない。

「主の風貌とは違うシャロム・イメージ」

シャロムヒュッテのスタッフは皆若い。キビキビした動作と今風のセンスをした若者がホテル、カフェ、レストランとコミュニティの各スポットで立ち働く姿そのものが、臼井さんがプロデュースするおしゃれな空間のステータスをさらに高めている。そして、そこで提供されるサービス、商品はコンセプトであるオーガニックをベースにヘルシーで環境に優しい、いわゆるLOHASを地でいくものであるがゆえに訪れるゲストの満足度と高いリピート率につながっているように見うけた。ここで大切なことは、空間(建物、デザイン、環境):役者(スタッフ・ホスピタリティ):商品(フーズ、グッズ)の調和であり、そのプロデュースである。

そして、その3つの底流に、臼井さん自身が積み上げ、創り上げてきたシャロムの思想があることが非常に重要なことである。もちろん、『無給でいいから』と志願してくる若いスタッフもその思想の引力に惹かれてくるのだろう。

これらが相まって口コミとなり、話題となり、数多くのマスコミにパブリシティとして取り上げられていき、それが結果、誘客効果となってさらに口コミをつくるという、誰もがやりたくてもできない、まさに広報戦略の王道のサイクルを作り上げていることは特筆すべきブランド戦略である。

コブハウスと森の家

 「循環の思想:エコツアーから」

施設を一巡しながらシャロムのコンセプト、システムを学ぶエコツアーに参加した。キーワードは、「無駄にしない」「もったいない」「あるものを活かす」そして、「つながること」と「協働」だ。

ゲストハウスに使われたペアガラスは設計変更によって使われなくなり建設会社に眠っていたもの。そのサイズに合わせて窓の外枠を作ったという。
だから材料費は0円だ。
トイレはコンポスト・トイレ。
おがくず、落ち葉、ミミズによって排泄物を分解し堆肥化するトイレを自作で設置していた。
「森のようちえん」という自主保育を行うフィールドに建つ「森の家」はすべて自然に還る素材で作られている。
その隣にはコブハウスという土と木だけでできた「かまくら」のような遊び場。木の上には子どもたちが作ったツリーハウス。
少し離れた自然農園では無理せず自然と折り合いながら作る季節の野菜が雑草と一緒に育っていた。決して豪華でも高品質でもないが人の手が入った暖かみとそれを生活の中に取り込み日常の一コマとなっているシャロムのコミュニティの普遍性をみたような気がした。
森の広場と子供たちがつくったツリーハウス

「ビジョンの共有から実現へ」

今回のシャロム訪問で特に感じ、臼井さん自身も繰り返し言われたのが「明確なビジョンを創り、それを共有すること」それさえできれば実現に向かっていくだけということ。

そして、そのことをまだスタートしたばかりの我々から学ぼうとされている臼井さんの謙虚さと素直さに、多くのことを学ぶことができた。

信念と確信、実践と活用、共生と協働。それが場になっていっている姿の美しさに心を打たれる訪問であった。

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