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2012.05.06 Sun
「シェーナウの想い~自然エネルギー社会を 子どもたちに~」
原村アースデイで上演された映画なかなか感動ものでした。


この映画は、ドイツ南西部、黒い森の中にある小さなまちシェーナウ市の住民グループが、チェルノブイリ原発事故をきっかけに「自然エネルギー社会を子どもたちに」という想いから、ドイツ史上初の「市民の市民による市民のための」電力供給会社を誕生させるまでの軌跡を綴るドキュメンタリーです。

<ストーリー>
ドイツ南西部にあるシェーナウ市。2500人の小さなまち。チェルノブイリ原発事故の影響は、ここシェーナウ市にもおよびました。そこでシェーナウ市の親たち数人が子どもたちを守るため「原子力のない未来のための親の会」(親の会)を結成しました。
まず始めたのが、街中に放射能から身を守るための情報を発信する情報スタンドを設置することでした。また原発依存から脱却するためには、エネルギー使用の意識変化も重要であると考え「節電キャンペーン」や「節電コンテスト」を行いました。 
さらに住民グループは、シェーナウ市と独占的に契約を結んでいたラインフェルデン電力会社(KWR)に対し、原発に頼らない電力供給、エコ電力の買い取り価格の引き上げ、そして節電を促すために基本料金を引き下げ使用料金を引き上げる比例料金制度を提案しますが、冷たくあしらわれてしまいます。
そこで住民グループ(親の会)は「それなら自分たちで電力会社をつくってしまおう!」と立ち上がり、シェーナウ電力会社(EWS:Elektrizitätswerke Schönau)を発足させます。
彼らはKWRを相手に2度にわたる住民投票を勝ち抜き、シェーナウ市の電力供給の認可を勝ち取ります。しかし、電力供給を実現するためには、当時KWRが所有していた電力網を買い取る必要がありました。
シェーナウ市との電力供給契約を失ったKWRは、この電力網の引き継ぎにあたって不当なまでに多額の価格を提示します。それでも住民グループは諦めませんでした。社会目的に積極的に融資をするGLS銀行や広告会社の無償の協力、さらには人々の善意の寄付のおかげで無事電力網を手にするに至りました。
1997年、EWSは念願の電力供給を開始します。チェルノブイリ事故をきっかけにした親の会の発足から、操業に至るまで実に10年もの歳月が流れていました。
苦労も喜びも分かち合い、皆で共に支えあい、励ましあい、そして時には息抜きもしながら、EWSで働く人たちは、今日もドイツにいるたくさんの人たちに原発に頼ることのない自然エネルギーをメインとしたエコ電力を供給しています。


<伝えたいメッセージ>
EWSが操業をはじめた翌年の1998年に、ドイツは電力事業の全面自由化にふみきりました。これにより、ドイツ国民はどこに住んでいても自由に電力会社を選択できるようになりました。
かつて独占企業であったKWRがその地位を奪われたように、EWSにとっても自由化は、シェーナウ市の顧客流出という危機をもたらすかに思えました。しかし「原発に一切頼らない自然エネルギーをメインとした電力供給」というEWSの一貫した企業理念は、多くのドイツ国民の支持を得て、顧客数は毎年増加の一途を続け、2012年現在ではドイツ全土で約11万件の顧客を抱えるまでに成長しています。
今では電力会社として不動の地位を確立するに至ったEWSですが、その挑戦はまだまだ続きます。親の会の中心メンバーであり、EWSの経営責任者であるウルズラ・スラーデック女史は、映画の終盤において次の言葉を残しています。
「一番の願いは、世界中から原発がなくなること。二つ目の願いは、早急な自然エネルギー社会への転換。そして三つ目の願いは、世界中の人たちに電力が公平にいき渡ること。」
2011年、スラーデック女史は、祖国ドイツに自然エネルギー社会への転換を促す大きな一助を果たしたとして、環境保護における草の根運動で偉業を成し遂げた人に贈られ、その権威の高さから環境のノーベル賞とも称される「ゴールドマン環境賞」を授賞しました。
スラーデック女史たちの活動がそうであったように、よりよい社会への第一歩は、まちの住民たちが集い、共に考え、話し合うことから始まるのかもしれません。
この映画の上映会が、未曾有の環境問題に直面した日本において、少しでも多くの人たちに希望ある社会をめざすための一歩を踏み出す勇気と力になりますことを心から願ってやみません。
    2012年2月
自然エネルギー社会をめざすネットワーク

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